リハビリテーション部紹介
当院リハビリテーション部は、リハビリテーションを必要とする全ての皆様に信頼され、喜ばれる包括的リハビリテーション・サービスの提供を目指しております。充実したスタッフ配置とチーム医療により、一人ひとりの患者さまに合わせたリハビリテーションを提供しています。
リハビリテーション部長あいさつ
平成19年9月に一般病棟42床で開院した当院も、令和の時代となった今、一般病棟60床、回復期リハビリテーション病棟2病棟110床、療養病棟60床、全病床230床を擁する病院に成長いたしました。病院の成長と共にリハビリテーション部も進化を続け、今や100名を超えるセラピストが日々、入院・外来リハビリテーション、介護保険サービスである通所・訪問リハビリテーション、更には地域での介護予防活動等々に携わっております。
当院リハビリテーション部は地域包括ケアシステムの構築も間近に見据え、急性期から維持期、病院から在宅、医療から介護、ステージやフィールドを問わずリハビリテーションを必要とする全ての皆様に信頼され、納得・満足いただけるような、包括的リハビリテーションの提供を目指しております。
心ならずも病気や怪我により日常の生活に不自由を強いられている皆様方が、1日も早く住み慣れた場所で、にこやかに、そして希望をもって自分らしくお過ごしいただけることを切に願って、私共リハビリテーション部セラピスト一同、常に真心のこもった高品質のリハビリテーションを提供すべく今後も精進してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
理念と指針
リハビリテーション部理念
『私たちはリハビリテーションの知識・技術そして心で、全てのリハビリテーション対象者を全力支援することにより、それらの人々が住み慣れた地域で、より健康的に、主体的に、生きがいをもって笑顔で暮らし続けられることを目指します』
リハビリテーション部指針
1. 患者・利用者の皆様の思いを尊重し真摯に向き合います。
2. リハビリテーションの知識・技術の全ては患者・利用者の皆様のために、私たち療法士は専門職としての自己研鑽、自身の人間形成に
努めます。
3. 急性期から維持期まで、病院から在宅まで、安全・安心・高品質のリハビリテーション・サービスを真心を込めて提供いたします。
4. リハビリテーション・サービスの提供にあたってはリハビリテーションに携わる全ての職種、関係する機関との綿密な連携に努めます。
5. リハビリテーションを通じて地域とつながり、地域からの要望にも応えられるリハビリテーション部を目指します。
リハビリテーションの体制
理学療法
理学療法は主に病気、けがによって運動機能が低下した状態にある方に対し、運動療法や物理療法(温熱、電気刺激等の物理的手段)などを用いて、自立した日常生活が送れるように支援を行います。特に、「寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩く」などの日常生活を営む上で、基本的な動作能力への関わりを専門としており、「関節可動域の拡大・筋力強化・麻痺の回復・痛みの軽減」など運動機能に直接働きかける治療法から、「動作練習・歩行練習」などの能力向上を目指す介入まで様々な方法を用いて日常生活の自立を目指します。
入院・外来リハビリにおいて脳卒中による歩行障害の早期改善を目的とした歩行練習や装具療法等や職業性疾病の一つである腰痛などの予防指導にも力を入れており、最近では学童期・青年期の若年層におけるスポーツ活動での障害予防・パフォーマンス向上など、多岐にわたり関わらせていただいております。また、行政機関との連携を図り、近隣の地域における高齢者へ運動機能の低下予防を目的とした運動指導・介護予防指導にも取り組んでおります。
今後も、地域に根差したリハビリテーションの提供が継続できるよう、地域動向に応じたリハビリテーション活動の整備やリハビリテーションに関する啓発・予防活動に努めてまいります。
リハビリテーション部 副室長 千葉 竜二
作業療法
日常生活の様々な動作や仕事、遊びなど人に関わるすべての動作を「作業活動」と呼びます。作業療法は、患者さまご自身が「やりたい」、「やる必要がある」あるいは、ご家族に「やってもらいたい」と思われる作業(意味と目的のある活動:食事・トイレ・入浴・家事・車の運転・仕事など)ができるように、患者さま、ご家族と一緒に考え、行っていくリハビリテーションです。
患者さま自身が「~したい」と思う気持ちを持てるように目的動作を促してまいります。さらに、精神・心理的側面からの援助も作業療法の重要な役割となっております。
作業療法部門では、住み慣れた地域で、自分らしく、生き生きとした豊かな生活の再構築を目標に、今できる最善のリハビリテーションを提供できるように日々取り組んでおります。最近では、自動車運転支援、脳血管疾患片麻痺患者への上肢機能訓練にも力を入れております。自動車運転支援では、ドライブシミュレーターを活用した検査・訓練、上肢機能に関しては、CI療法や随意運動介助型電気刺激装置を活用した訓練を積極的に行っております。
知識・技術の研鑽はもちろんですが、人の営みに興味・関心を持ち、患者さまと関わらせていただく中で、自己の人間性を豊かにしていければと考えております。どんな場面においても「作業療法らしさ」を忘れずに、患者さまやご家族に寄り添い、皆様の笑顔を引き出せるように明るく楽しいリハビリテーションを提供してまいります。
※ドライブシミュレーター、CI療法、随意運動介助型電気刺激装置につきましては、適用条件がありますので、担当療法士にご相談ください。
※CI療法:脳卒中等で後遺症と残存している麻痺側上肢に対して、集中的なリハビリテーションを行うことで機能回復を目指す治療法です。
※随意運動介助型電気刺激装置:麻痺した筋の活動を電極で感知し、活動に応じた電気刺激を与えることで機能回復を目指す治療法です。
言語聴覚療法
「話す」、「食べる」といった当たり前のように行っていることが脳卒中や頭部外傷、加齢や様々な疾患によって困難になってしまう方々がいらっしゃいます。我々言語聴覚士は、そのような「言語によるコミュニケーションが困難になってしまった(失語症・構音障害)方々、食べる力が低下した、飲み込みが困難になってしまった(摂食嚥下障害)」方々やそのご家族に対して専門的な評価・訓練・助言・援助を行い、他職種と連携し、自分らしい生活を再構築する支援をさせていただいております。
◇コミュニケーション障害に対するリハビリテーション
脳卒中などにより「話す」「聴く」「読む」「書く」ことが障害される失語症や、舌や口唇の麻痺や筋力低下により、ろれつが回りにくくなる構音障害に対しては詳細な評価の上、病前のライフスタイルや職業に応じて目標を設定し、目標達成に向けて患者さまの趣味や嗜好、職業に合わせて個別性のある訓練や意思伝達方法の提案をします。さらに、一般的になじみの薄い失語症という障害に関してご家族に理解を深めていただくための説明やコミュニケーションを行う際の注意点や工夫を指導いたします。
◇摂食嚥下障害に対するリハビリテーション
脳血管疾患や加齢、病後の長期臥床により食べるための舌や喉の機能が低下した患者さまに対して主治医の指示のもとに専門的な評価を実施し病状に応じた訓練や食事内容の検討を行い、患者さまやご家族へ指導を行います。また、安全に食べるための姿勢や環境、食具等を理学療法士や作業療法士、看護師、栄養士と相談・検討しチームで取り組んでいます。
我々言語聴覚士は、入院リハビリ・外来リハビリ・通所リハビリ・訪問リハビリ・通所介護事業所と様々な領域に携わっており、入院中のみならず在宅に戻られてからも継続して言語聴覚療法を提供しております。今後も多職種による連携を強化し、各職員が高次脳機能障害、失語症、摂食嚥下障害のリハビリテーションへの理解を深めるため知識・技術の研鑽に努め、より質の高いリハビリテーション・サービスを提供してまいります。
〇嚥下造影検査(VF)
バリウムを混ぜた飲食物を用いて飲み込みの機能を評価します。飲食物の気管への流入(誤嚥)の有無や、咽頭に飲食物が残っていないか、また咀嚼の様子等を評価します。
〇嚥下内視鏡検査(VE)
鼻腔から内視鏡を挿入し、咽頭の中の様子を評価します。咽頭の動きや貯留物の有無、飲食物の飲んだ後の残留の有無や器官への流入(誤嚥)の有無を評価します。嚥下造影検査とは異なり、普段食べている食事を用いての評価が可能です。
〇回復期病棟嚥下担当者ミーティング
回復期病棟に関わる看護師・看護助手・管理栄養士・言語聴覚士で構成されたチームで回復期病棟に入院されている患者さまの摂食嚥下に関する情報を共有し、評価・支援を行います。定期的にミーティングやミールラウンドを行い言語聴覚士が関わることの少ない運動器の患者さまについてもこの場で情報共有を行い必要に応じて評価・指導を行います。また、より質の高いリハビリテーションを提供するため、摂食嚥下障害に関する知識や手技の共有・研鑽のために勉強会も行っています。
リハビリテーション部 統括主任 言語聴覚士 髙堰 ちひろ
施設基準
- 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)
- 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)
- 運動器リハビリテーション料(Ⅰ)
- 呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)
- がん患者リハビリテーション料
- 回復期リハビリテーション病棟入院料1
提供しているリハビリテーション
- 回復期リハビリテーション病棟
- 一般病棟(整形外科・内科)
- 療養病棟
- 外来でのリハビリ
- 訪問リハビリテーション(PT・OT・ST)
- (短時間)通所リハビリテーション:定員44名(日)
当院の回復期リハビリテーション病棟の特徴として、高い在宅復帰率があげられ、患者さまが安心してご自宅へ退院できるように十分な支援をさせていただいております。また、通所リハビリと訪問リハビリも提供しており、退院後のサポート体制も整備しております。
※当院では回復期リハビリテーション病棟および一般病棟の入院患者さま(発症もしくは術後早期)に365日体制でリハビリテーションを提供しております。
部門の紹介
回復期リハビリテーション病棟
当院では「患者さまそれぞれの個別性を重視したリハビリテーション」を行っております。そのため、多職種との合同カンファレンスにより、日々の情報共有からチームワークを高めております。病棟生活において、定期的な病棟行事・レクリエーションも開催し、活気のある入院生活となるように努めております。
また、自宅での生活が患者さまらしく送れるかを確認するための退院前訪問指導や、自宅内・外での施設外リハビリテーションを実施しております。そこで、退院前に動作指導、福祉用具・住宅改修、介護保険サービスの提案をさせていただいております。退院後も継続的なリハビリテーションが必要な患者さまには、入院中より訪問リハビリ・通所リハビリ担当スタッフと情報共有を図っていくことで、切れ目のないリハビリテーションを提供できる体制を整えております。
患者さま・ご家族の思いを形にできるようにスタッフ一同全力でサポートさせていただきます。
一般病棟
- 脊椎手術後(腰部脊柱管狭窄症、側弯症等の脊椎疾患)
- 骨折等、人工関節置換術後
- 脳血管疾患
- 内科系疾患
- 呼吸器疾患(肺炎、COPD等)
一般病棟のリハビリスタッフはいずれも外来兼任で構成されており、脳血管や内科・整形領域問わず多様な患者さまを対象として日々診療にあたっております。外来との兼任により、手術を予定されている患者さまは術前から外来または検査入院にて担当スタッフが十分に評価・オリエンテーションを行い、退院してからもしっかりと外来でフォローアップさせていただくといった術後だけではなく術前からの積極的なリハビリテーションにも取り組んでいます。
年間での手術件数は300件を超え、専門医の指導のもとに常に学ぶ姿勢を忘れずに各々が研鑽に励み、患者さまに向き合っております。
一般病棟におきましても多職種での連携を重視し、患者さまがいち早く住み慣れた場所での生活に戻れるように尽力しております。
これからも地域の皆様から、より一層の信頼をいただけるよう「真心」と「情熱」を持って、スタッフ一同、明るく笑顔で治療に臨ませていただきます。
リハビリテーション部 主任 理学療法士 及川 竜太
外来リハビリテーション
主に「整形外科疾患・脳血管疾患」を対象に、外来でのリハビリテーションを行っております。対象は「腰痛症や脊柱管狭窄症等の脊椎疾患・変形性膝関節症・肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)」など多岐にわたります。退院後のフォローアップのほかに、当院では手術予定の患者さまに対しての術前リハビリテーションにも力をいれております。
外来リハビリでは医療制度上、介入期間に限度があるため、当院では個別に自主運動や日常生活動作などの助言も含めた介入をさせていただいております。また、要支援・要介護認定者の方に関しましては、医療保険での介入期間にのみ処方できることとなっておりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
1. 外来でのリハビリの開始にあたっては、必ず医師の診察の上、適応を判断し、リハビリを処方いたします。
2. 外来リハビリは患者さまの待ち時間短縮のため、「完全予約制」となっております。
※診察にてリハビリ指示後、当日は説明・予約のみとなります。3. 疾患、状態、発症からの経過から、介護保険でのリハビリの適応がある方に関しましては、必要に応じてご案内させていただきます。
教育・研修および人員配置について
当院のリハビリテーション部ではそれぞれの専門職が連携しチームワークを重視するとともに、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が日々それぞれの領域の専門性の向上に努めております。
当院では、入職時より一貫して、医療に限らず視野の広い“在宅”を重視した「新人教育」を行っております。専門知識・技術はもちろんですが、リハビリスタッフそれぞれが専門性を発揮する前提として、地域への理解を深めるとともに、患者さまそれぞれの生活歴・個別性・コミュニケーションを重視しております。
リハビリテーション部では、充実したスタッフをいかして地域の介護予防教室や住民主体のサロン活動等にもご協力させていただいております。また、地域におけるリハビリ関連の研修会の実績もあり、医療福祉等の関連機関や施設様からの講師派遣等のご相談にも対応させていただいております。
これからも地域の皆様に、より質の高い充実したリハビリテーションを提供するため日々の研鑽に努めてまいります。
リハビリテーション部 室長 理学療法士 津田 和広